sweet heart

「…はい、国光さん」
 そう言って、リョーマは綺麗にラッピングされた包みを手塚に差し出した。
「…何だ、これは…」
 対する手塚は、眉間にしわを寄せ、怪訝そうな顔をしている。
「何って…チョコレート。バレンタインでしょ?」
 相変わらずの人を食ったような笑みを浮かべ、リョーマは手塚の手に包みを押し付けた。
 その言葉に、手塚の脳裏にひとつの疑問が浮かぶ。
「お前…男だろう」
「アメリカじゃ、男も女も関係ないよ。ついでに言うなら、チョコに限る必要もない」
「…そうなのか?」
「男女関係なく、カード書いたり、プレゼントあげたりとかするよ。日本ぐらいじゃないの? 女から男、それもチョコ限定だなんて」
 習慣の違いとは、面白いものだ。そう言えば手塚も、日本のバレンタインは、とあるチョコレートメーカーが率先して始めたというような話は聞いたことがあるような気がする。
「…まさか、お前からもらえるとは思わなかった…」
 リョーマから受け取った包みを、しげしげと眺めながら呟く。
「別に、国光さんからのは期待してないから。ねえ、開けてみてよ」
 そう言われ、手塚は無言のままその包みを紐解いた。中から出てきたのは、掌ほどもあるハート型のチョコレート。それを見て、今度は言葉を失った。表面には二人の名前が書かれ、その周りが更にハートで飾られている。
「菜々子さんに手伝ってもらっちゃったけど…オレが作ったんだよ」
 それを聞いた手塚の顔が、一瞬にして赤くなる。彼女に手伝わせたとは…今更のことではあるが、一体どんな顔をされたことだろう。
「ねえ、食べてみて」
 手塚は、無言のまま目の前のハート型の物体を睨んでいる。一体どんな顔をしてこれを作っていたのか、そしてそれを見守る菜々子さんはどんな顔をしていたのかと思うと、目眩さえしてくる。
「食べてみてよ」
 更なる催促に、諦めたような溜息をつくと、手塚はそのハートの端に噛り付いた。
 甘い。甘いだけでなく、深みがある。今までに食べたどのチョコレートとも違う味だ。その辺で売っているような100円程度の板チョコなどではなく、もっと高級なものを使ったのかもしれない。
「おいしい?」
「……ああ」
「よかった。じゃ、お裾分け、もらうね」
「…え?」
 そう言うと、リョーマは止める間もなくいきなり手塚に口付けた。舌で口内を弄り、甘く溶けている塊を掬い取る。
「…ごちそーさま」
 口の端にチョコをつけたまま小悪魔的に笑うリョーマに、手塚は返す言葉もなくただただ茫然としていた。

……何ですか、コレは……。途中、何度か我に返りました。私…何でこんなん書いてんだろう………。何で? ねぇ、何で???(悩)
突然こんなん書き始めた自分にビックリです。更に言うなら、王子が部長のことをサラッと名前で呼んでるのにもビックリです。しかも、実は二人の仲は菜々子さんもご存知であるらしいことに更にビックリです。
……大丈夫ですか、私…。とうとう脳ミソに変な虫が湧きましたか………。

「sweetheart」に「恋人」という意味があることを、ついさっき知りました。でもこのタイトルは、「sweet heart」ですから。微妙に離れてますから(笑) だから何。ってカンジですが。
どうでもいいけど、ベタすぎてとってもアレです。微妙。

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