注:この話は、某なりきりチャットにてなされた会話を元に作られています。あんまり深く考えないでください(笑) 女装大会だの、女装プレイだのとまぁ…そんな話をしてたワケなんですよ。ちなみに、わかると思いますが、中身はかなりギャグです(笑) |
ある昼下がり、カミューが自室で寛いでいる時だった。唐突に、扉をノックする音がした。 この時間、マイクロトフは日課としている道場での鍛練に行っていて、戻ってくるまでにはまだだいぶ時間があるはずである。そもそも、マイクロトフであればカミューの部屋を訪ねるのにノックなどしない。 「どなたです?」 誰何すると、元気のよい返事が返ってきた。 「あっ、カミューさん、いらっしゃいます? ちょっと手伝ってほしいんですけど〜」 「…ナナミ殿、ですか?」 扉を開けると、ナナミ、ニナ、リィナ…と、同盟軍の女性陣の何人かが笑顔で立っていた。 「これは、レディ…。お揃いで、一体どうしたのですか?」 「頼みたいことがあるんです〜〜」 「カミューさんでなきゃ駄目なんです〜〜」 語尾を伸ばした独特の口調に、一瞬嫌な予感がよぎるが、そこは女性の扱いには手慣れているカミューである。そんなことはおくびにも出さず、笑顔で応対していた。 「レディの頼みとあらば、喜んで。…それで一体、何をすればよいのですか?」 だが、この時ばかりは、女性に慣れ過ぎている自分を後悔することになる。 「これを! 着てみてほしいんです♪」 そう言ってナナミが取り出したのは、フリルやリボンがたくさん付いたピンクのドレス。 「……え?」 手に持っている包みが何となく気になってはいたが、まさかそんなものが入っていたとは! 流石に二の句がつげないでいると、女性たちは上目遣いにじりじりと部屋に入り込んできた。 「お願いします〜〜。カミューさんでなきゃダメなんです〜〜」 「きっと似合うと思うんです〜〜」 「いえ、あの…何故私がそのようなものを……」 女性相手では強く出るわけにもいかず、カミューはだんだん追い詰められる。 「お願いします〜〜。きっと似合いますから♪」 「…ですから、何故私なんです?」 そんなものが似合っても嬉しくない、と思いながら問い掛けてみれば、問答無用の回答が返ってきた。 「リーダー命令です♪」 「………」 呆気に取られているうちに両腕をしっかりと掴まれてしまうと、相手がマイクロトフと違って繊細なはずの女性とあっては力ずくで振り解くわけにもいかず、カミューにはもうなす術はなかった。 「はい、できあがり♪」 数十分後、まるで着せ替え人形のように手際良く服を着替えさせられ、顔にはご丁寧に薄くではあるが化粧までされ、カミューは眉間に寄る皺を隠せないでいた。 「うっわ、キレイ!」 「男の人にここまできれいになられると、少し妬けるわね」 「ヒックスにも着せてみようかなぁ…」 「フリックさんも似合うかも〜〜」 女性たちは、めいめいに勝手なことを言っている。 「レディ…それで、私にこんな格好をさせて、一体何をしようと……」 全く嬉しくない、と思いつつも、不機嫌さが露にならないように気を遣いながら聞いた時、タイミング良くノックの音がした。 こんな姿を誰かに見られたら! とカミューが内心焦っていると、扉の向こうに現れたのは、これを仕組んだという、同盟軍の我らがリーダー殿であった。 「ねえ、できた?」 「あっ、ちょうどいいところに来た! ねえ、見てよ!」 ナナミがカミューを立たせ、リーダーの前に突き出す。普段とは全く印象の違うカミューを上から下まで眺め回しつつ、リーダーは心底感心したように呟いた。 「うっわー、キレイだね〜〜。これならきっと……」 「きっと…何です…?」 もはや何を言っても無駄だ、とカミューがどこか諦め切った心境で聞いてみれば、 「ん? 何でもないよ」 何でもない、という顔ではない。 「あの…それで、いつまでこのままでいれば…」 「え? もうすぐマイクロトフさんも戻ってくるでしょ? せっかくだから見せてあげようよ」 そういう魂胆だったのか…と今更気付いても、時既に遅し。程なく、マイクロトフが戻ってきた。 「カミュー、明日の演習のことだが……」 ノックもせずにそう言いながらいきなり部屋に入ってきたマイクロトフは、室内の様子を見るなり絶句した。 「………」 「………」 「あ、マイクロトフさん、お帰りなさい!」 「それじゃ、お二人とも、ごゆっくり〜〜」 女性たちとリーダーがそそくさと部屋から出ていっても、マイクロトフは相変わらず硬直したままである。 「マイクロトフ…断っておくが、何も俺が好き好んでこんな格好をしているわけではないからな」 「カミュー…その……」 「……何だ?」 ようやく口を開いたものの歯切れの悪いマイクロトフに不審の目を向ければ、あろうことか、何となく頬を染めているではないか。 「…似合う、な……」 「……本気で言ってるのか、お前?」 「カミュー…!!」 声のトーンを数段下げたカミューに気付いているのかいないのか、マイクロトフはいきなりカミューを抱き竦めた。 「マ、マイクロトフ! ちょっと待て!」 「カミュー…嫌か?」 「そういう問題じゃないだろ!! おかしいぞ、お前!!」 「カミュー……」 押し返そうとしても、完全に抱き込まれてしまっては、力ではカミューはマイクロトフには適わない。 「ちょっ…やめろって……ん……っ!」 そして、そのままマイクロトフはカミューのほんのりとピンク色の唇に食らい付いた。 「カミュー……すまん」 「こっの……バカ……っ!!」 扉の前では、首謀者たちが鈴なりになって事の成行きを漏らさず聞き届けようとしていた。警備の騎士たちが団長への用事さえも後回しにして敢えて彼らに何も言わずむしろ生暖かく見守っていたのは、自分たちも団長のドレス姿を一目見たかったからだ、という噂である。 そしてカミューはカミューで、いつになく激しく自分を求めてくるマイクロトフの腕の中で翻弄されながら、ここまで燃えるのならたまにはこういう格好もしてみようか…などとどこか倒錯的なことを考えていたというが、それはまた別のお話である。 |
断っておきますが、ウチの主人公シェイ君は、こんなことはしません(笑) チャットの時に主人公をやっていた某嬢のとこの主人公だよな、こういうこと考えるのは(笑)
そして、おバカな私はつい、女装カミューさんのイラストまで描いてしまったりしてしまいました(笑)
我が家にはスキャナがないゆえ(笑)、いずれ人の家で借りてアップしようかね…。てか、サイト1周年最初の小話が女装だってことは、この際黙っといてください(苦笑) つーかそれより…聞かれてますよー、お二方ーー!!(爆笑) …ウチとこのは同盟軍公認のバカップルだから…いいよ、もう……。 |