巡る時:その3

血の臭い。金属がぶつかる音。体中を苛む激痛。朦朧とする、意識。
だめだ。まだ死ねない。あいつを…見つけなければ…側に行かなければ…。
立ち上がろうとした瞬間、血が逆流してきた。激しく咳き込み、血を吐き出す。力が入らない。
ここまでか……。
それでも最後の力を振り絞って、体を引きずるようにして彼の姿を探す。
「    !」
名前を呼ばれたような気がした。見ると、彼が…剣に縋るようにして、全く覚束ない足取りで歩いて来ていた。
「      !!」
名を呼び、抱き締め合い、そのまま倒れこんだ。もう、力はほとんど残っていない。
残されたわずかな力で、指を絡ませるようにして手を握り、口付けを交わす。
「…愛している」
「ああ…俺もだ。愛している」
「また、会おう…」
「そうだな、いつか、また……」
後は、闇―――。
   ※  ※  ※
「……っ!!」
飛び起きた。今のは…夢?

激しく金属がぶつかる音はまだ続いている。そして、生臭い臭い。激痛と、もはや自分のものであるのかどうかさえわからないような身体。
だめだ。まだ死ぬわけにはいかない。あいつの側に行かなければ……。
体が言うことを聞かない。それでも、剣に寄り掛かり、何とか歩いていくうちに、赤いものが見えた。元々赤い服が、血の赤を吸い、炎の赤に照らされて、まるで色を失ってしまったかのようだ。
「    !」
名前を呼ぶと、彼もこちらに気付いたらしい。
「      !!」
彼が名前を呼んでくれるのと同時に、抱き締め合い、そのまま倒れこむ。よかった…間に合った…。
最後の力を振り絞って、指を絡ませるようにして手を握り、口付けを交わす。
「…愛している」
「ああ…俺もだ。愛している」
「また、会おう…」
「そうだな、いつか、また……」
そして、漆黒―――。
   ※  ※  ※
「……っ!!」
飛び起きた。今のは…夢か?

過去の夢。
とは言え、別にこのシーンが私の中で2人の死に様ドリー夢として確定しているわけではないのですが…。このシチュエーションは、このパラレル専用かな…。
自分の中で確定してるのは、「死ぬなら2人一緒に死んでほしい」ってぐらい。

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