巡る時:その5

それからも何度か、彼とは猫と共に会った。…それとも、猫を会わせるという口実で、彼と会った、と言うべきか。
奇妙な夢も、断続的に見た。全てが、あの日の夢と連動しているらしい。常に、似たような服装をしている。赤い服を着た俺と、青い服を着た大柄な男。
剣を取って手合わせをしている夢、2人で共通の敵に斬り掛かる夢、ヨーロッパの城のような石造りの建物の中で酒を酌み交わし語り合っている夢…。
その全てを、彼も同じように夢に見ていた。彼は彼の視点で、俺と全く同じ夢を見ているのだ。青い服の男が彼であることはほぼ間違いなさそうだが、これは一体、どういうことなのだろう。
…しかし、今日の夢には参った。彼も…やはり、いつものように同じ夢を見てしまったのだろうか。俺は、ベッドの中で…彼と抱き合っていたのだ。 それも、裸で! 彼の腕の中で、喘ぎ、悶え……あろうことか、俺は彼に抱かれていた。
確かに、勘違いして言い寄ってくる男もいたが…俺には、そんな趣味はないのに…。いや、もしかしたら、実は潜在的な願望だったりするのだろうか?
そんな、バカな!!

それからも、互いの猫を会わせるという口実で、何度か彼と会った。
奇妙な夢は、ずっと続いている。全て、最初に見たあの夢とつながっているようだ。服装も、大きな変化はない。俺が青で、夢で見たあの華奢な青年が赤。
真剣勝負の手合わせをしている夢、同じ敵に2人で対峙する夢、写真で見た外国の城のような石造りの建物の中で酒を酌み交わし、語り合う夢…。
俺が見たその夢の全てを、あの青年も夢に見ていた。彼は彼の視点で、全く同じ夢を見ているようなのだ。一体、どういうことだろう。今わかるのは、赤い服の青年がどうやら彼であるらしいことだけだ。
…しかし…今日見た夢は、絶対に彼には言えない。いや…彼も、同じ夢を見ているのか…。俺と彼は、ベッドの中できつく抱き締め合っていた。 それも、裸でだ! 涙を流し喘ぐ彼を引き寄せ、俺は…何と、彼を抱いていたのだ。
いくら何でも、男を抱く趣味など、俺にはない。いや…実は潜在的にそんな欲望が隠されているとか?
そんな、あり得んことだ!!

過去の夢は続く。
とうとう、ベッドシーンまで夢に見てしまいましたねぇ(笑) 本当は、この後のこともいろいろ考えてあったのですが…(待ち合わせ場所に行ったはいいものの、気まずくて顔を合わせられない、とか)、 蛇足になりそうなんで、却下しました。

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