巡る時:その6

また、死にかける夢を見た。最初に見たのとは違う。とてつもない力を持った強大な敵に、大勢の味方と共に立ち向かい、それでもかなり消耗させられていた。
そして、避けきれずに食らった一撃で…俺は、意識を手放した。彼の悲痛な顔が、ずいぶんと印象的だった。
すぐに意識を回復したものの、あれほど言い様のない恐怖を感じたことは、ない。
そしてその夜。
「好きだ」
突然言われた言葉。男からの告白に驚いたが、確かに喜んでいる自分もそこにいた。そして、気付いたのだ。自分も、ずっと前からこの男を好きだったということに。
そして…俺は、彼と結ばれたのだ。

彼が、死にかける夢を見た。最初に見た夢とは違う。強大な力を持った恐ろしい敵に、大勢の味方と共に立ち向かい、それでも勝機はなかなか見えなかった。
そして…だいぶ消耗していた彼が、集中攻撃を避けきれず…倒れ伏した。その瞬間、頭が真っ白になった。
すぐに意識を回復したようだが、あれほど強いショックを受けたことはない。
そして、その夜。
「好きだ」
正直な気持ちだった。彼を失いかけたその瞬間、彼への思いに気付いたのだ。同性であるとか、そんなことは問題ではない。とにかく、共に在りたかった。
そして…俺と彼とは、結ばれた。



熱い吐息と、荒い呼吸。うわごとのような、互いの囁き声。
夜の闇に溶けてしまいそうな快楽の中で、交わした、睦言……。
「愛している」
「俺も…愛してるよ…」
「カミュー…!」
「マイクロトフ……っ!!」



がばっと跳ね起きた。カミュー? マイクロトフ? 誰のことだ? 俺のことか? では、今ここにいる俺は何者だ? カミューとは、何者だ?? マイクロトフとは??
思考がまとまらない。混乱の中、ふと、布団の中に入り込んで一緒に寝ていたフミが目に入った。まさか……
「おまえ、ユーライア…か?」
「にゃぁ〜〜」
懐くように、腕にまとわりついてきた。
「そうか…おまえ、ずっと教えてくれていたんだな…俺があれほど愛した存在が、すぐそこにいると……」
抱き上げて、口付けてやった。
「おまえは本当に、最高のレディだよ」
俺は、全てを思い出していた。

飛び起きた。マイクロトフ…? それが俺の名か…? それでは、今ここにいる俺は? それに、カミュー? 誰のことだ? 一体、何者なんだ…??
頭の整理がつかない。ふと、枕元で丸くなっているユキに目が行った。まさか……
「ダンスニー…か?」
「みゃ〜〜」
勢い良く腕の中に飛び込んできた。
「おまえ…もしかして、ずっと教えてくれていたのか…。俺が全てをかけて愛した存在がすぐ側にいると……」
頭を撫で、頬擦りをしてやった。
「おまえは、本当に…最高の相棒だ…」
俺は、全てを思い出した。

とうとう、はっきりと互いの名前を呼びましたね。やっと、名前を…そして全てを、思い出したのです。途中で切ろうかどうしようか、散々悩んだのですが…つなげてしまいました。
ちなみに、「強大な敵」とは勿論、ルカのこと(笑) この馴れ初めはやっぱり、私の基本設定なのです。

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